ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)、TikTok の共同プレスリリースによると、敵対的なライセンス紛争を巡る両社の確執は、新たなライセンス契約が締結されたことで終結したとのことだ。

これは、UMG がラインセンスを保有する世界最大の音楽カタログ約400万曲を TikTok 上で再び聴くことができるようになることを意味している。伝えられるところによると、今後、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)、deadmau5(デッドマウス)、David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)、Drake(ドレイク)、Tiësto(ティエスト)、Olivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)等の音楽が TikTok にカムバックする予定であるという。

UMG が1月下旬、アーティストを不当に扱っているとして TikTok を非難する痛烈な抗議を公開した後、同社は TikTok アプリ上から楽曲を一斉に削除、TikTok プラットフォーム上から数億の動画がミュートされた。この論争は、クリエイター、アーティスト、音楽業界全体を巻き込み、アーティストたちはプロモーションのために他のプラットフォームを使用せざるを得ない状況となっていた。

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今回締結された新たな協定の中の一つには、アーティストを生成 AI から保護するという目的が盛り込まれている。TikTok は UMG と協力して、月間アクティブユーザー数が10億人を超えるプラットフォームから AI が生成した無許可の音楽を削除することに取り組んでいるとのことだ。
プレスリリースによると、両社は「音楽業界全体の AI 開発が、人間の芸術性と、それらのアーティストやソングライターに流れる経済を確実に保護できるように協力していく」と書かれている。

契約の一環として、両社は「新たな収益化の機会」を確立し、TikTok のビジネスモデルを活用して UMG のアーティストをサポートするキャンペーンを展開するためにも協力する予定であるとのことだ。

UMG の会長/最高経営責任者である Sir Lucian Grainge 氏は、以下のように述べている。

TikTok との関係におけるこの新たな章は、音楽の価値、人間の芸術性の優位性、クリエイティブ小ユニティの福祉に焦点を当てている。

TikTok のチームと協力し、アーティストやソングライターの関心を更に高め、ソーシャルミュージックの収益化を進めながらファンエンゲージメントの革新を推進できることを楽しみにしている。

TikTok の CEO、Shou Chew 氏は以下のように述べている。

音楽は TikTok エコシステムの不可欠な部分であり、ユニバーサルミュージックグループと前進する道を見つけられたことを嬉しく思う。

我々は、UMG の全ての素晴らしいアーティストやソングライターの価値、発見、プロモーションを推進し、彼らの成長、繋がり、TikTok コミュニティとの関わりの能力を深めるために協力することに全力で取り組んでいる。


UMG と TikTok は現在、UMG にライセンスを置くアーティストの音楽を TikTok のソーシャル・メディア・プラットフォームに復活させるために "迅速に取り組んでいる" とのことだ。

しかし一方で、米ジョー・バイデン大統領は中国資本の親会社 ByteDance が米国政府が承認した買い手に同社を販売しない限り、米国内で TikTokアプリを禁止する法案に署名しており、TikTok は厳しい立場に置かれている。TikTok はこの法案に対して法廷で異議を申し立てる予定であると伝えられている。