伝説的なテクノ・プロデューサー/DJ の Richie Hawtin(リッチー・ホウティン)が、ダンスミュージックにおける DJ、プロデューサー間の所得不平等について語った。

Holly Herndon と Mat Dryhurst のポッドキャスト「Interdependence」のインタビューの中で、Richie Hawtin は以下のように語っている。

「この経済共同体の原動力は DJ だ。彼らはお金を稼ぎ、彼らは主に他の人々の音楽を演奏する」
「僕たちは、それが常に適切な人々に向けられているとは限らないことを知っている。そして過去に物事が正しく行われていなかったために、30年経った今、このコミュニティを支援するためにいくつかの準備が必要であることを知っている。これまでと、そして僕らが設定する未来にそれらのことが二度と起こらないようにするためにね」

ライブ DJ セットでは、セットを肉付けするために他のアーティストの音楽をプレイしているにも関わらず、DJ は天文学的な金額のブッキングフィーが掛かるため、ダンスミュージックシーンでは長年にわたって問題視されていた。一方で、ライブ DJ セット内で使用された楽曲のアーティストには、音楽の使用に対する支払いは何もない。
この問題は、パンデミックにより経済的に困窮するダンスミュージックシーンにおいて、より顕著となっているが、Richie Hawtin はパンデミック以前にもかなり長い間、この収入に関する問題に気がついていたと主張している。
 

Richie Hawtin は "Interdependencem(相互依存)" のインタビューで、DJ のブッキングフィーから一部の資金が音楽をプレイされるアーティストに送られる健全なエコシステムを確保するための「メカニズム」を確立する必要があると述べている。

「僕にとって、これは新型コロナウイルスによる悟りではない」

「これは今、この問題をより深く理解しているだけであり、DJ のブッキングフィーの一部が(音楽)コミュニティに戻る、ある種の……メンバーシップ、またはギルドのような……メカニズムを作成する必要がある。構造の中にね」

また、EDM シーンにおける性別や人種のギャップについても憂慮しており、業界の多くの人々がそれらを修正しようとしているが、その努力は
「僕たちが制御できなくなった問題を修正する」必要性に駆られてのものであるという。
更に、包括性に対する真の欲求から、これらの問題をより自然に改善する必要があると信じている、とのことだ。

「80年代から90年代にかけてのダンスフロアは、包括的で多様だった」
「(現在は)そうではない……それをプロデューサー(と DJ)にどのように持ち込めば良いのだろうか? 僕たちはここに座って(現状を)理解しようとしているのではない。では、どうすればより包括的なラインナップを作ることができるのだろうか?」

と Richie Hawtin は語っている。